2017 年 73 巻 4 号 p. 363-379
プレストレストコンクリート桁において,耐荷性能の回復または向上が必要となった場合に,外ケーブル補強工法が用いられることが多い.しかし,鉄道橋に多用されている主桁間隔の狭いPCI形桁では,空間の制約により従来構造の定着装置が設置できない.このため著者らは,同形式のPCI形桁に適用できる構造の定着装置を提案して検討を行っている.
本稿では,定着装置の耐荷性能および定着部の挙動の評価を主目的として実験的検討を行った.その結果,定着装置は最大荷重に至るまでに,新旧コンクリート界面での微小なすべり挙動や回転挙動が生じるとともに,拘束効果と考えられる影響で大きな耐荷性能を有することがわかった.さらに,界面に垂直に作用する圧縮力,表面処理方法,横桁の有無が耐荷性能に与える影響も評価した.