2011 年 67 巻 2 号 p. I_106-I_111
ケーソン式混成堤の耐波設計のうち,滑動破壊モードに関しては,設計供用期間中の波浪作用による滑動量を確率的に評価する方法が提案されている.この方法においては通常,防波堤前面の波高分布特性は設計供用期間中一定であると仮定されるが,ケーソンに一旦滑動が生じると,滑動したケーソンに対する波高が増大する傾向があることが指摘されている.本研究では,ケーソン式混成堤の変位に伴う波高増大を考慮した累積滑動量に関する破壊確率を評価した.その結果,滑動に伴い波高が増大すると,大きな滑動が生じやすくなるとともに,滑動が生じる可能性自体も高くなる.この両者の影響により,本研究の範囲では,波高増大を考慮しない場合と比較して,概ね5%程度の破壊確率および期待滑動量の増加が認められた.