2012 年 68 巻 2 号 p. I_756-I_761
本研究は、福島第一原子力発電所の事故によって放出された放射性物質が東京湾に流入する経路を整理すると共に、2011年3月から12月の10ヶ月間について大気中からの降下量及び主要河川(江戸川、荒川、多摩川)を通しての流入量について試算し、流入量の定量的な把握を行った。大気中からの降下量については、都道府県ごとに実施されている放射性物質の降下量調査結果を基に、重み付き補間法を用いて東京湾内湾への降下量を推定した。また、河川については、各河川から導水している浄水場における浄水残土中のセシウム濃度を基に試算した。なお、河川においては放射性物質は流量の増減に強く影響を受けながら移動・堆積等を繰り返し、ある程度の期間内では海域に流入していくものとして、平均的な流入量として試算した。その結果、大気からの降下量と主要河川からの流入量の合計は、約12TBqとなることが明らかとなった。