2013 年 69 巻 2 号 p. I_179-I_184
本論文では,直杭式横桟橋の下部工を対象に補修シナリオの評価を行った.桟橋下部工の鋼管杭の腐食により桟橋の性能低下が生じると考え,コンクリート上部工,鋼管杭および地盤の非線形系を考慮したプッシュオーバー解析により桟橋の静的荷重-変位関係を求めた.その際,腐食速度は鋼管杭の水深毎の肉厚測定結果から算出し,腐食による桟橋下部工の残存肉厚の変動をモデル化した.1質点非線形動的解析によりレベル1地震動とレベル2地震動による地震作用を得た.破壊確率は桟橋の性能限界値と地震作用の確率分布より,モンテカルロシミュレーションを用いて求めた.さらに,4つの補修シナリオを設定し,ライフサイクルコストを指標として補修シナリオの妥当性を評価した.