盛土上の防潮施設に作用する津波波力

抄録

　東北地方太平洋沖地震の津波による広域被災の対策として，各所で防潮施設が建設中にある．陸上にある防潮施設の津波力に関する既往研究は，主に水平な陸上設置に対するものが主である．そこで，津波力への津波周期・陸上地形の影響の把握を目的とし，盛土（斜面）地形上に設置された壁堤・堰堤を対象に水理模型実験を行った．実験縮尺は1/50で，津波周期は現地換算で10，15，20分とした．結果，15分以上の津波では穏やかな持続圧が支配的で，一方，10分以下の津波では地形との関係もあり施設に津波が作用した瞬間に衝撃圧が発生し，津波周期の影響を確認した．津波分布は静水圧分布となり，水圧係数は水平陸上部の評価式の最大包絡値の3（朝倉ほか(2000)）に対し，今回実験は同義結果となった．よって，水平陸上部の評価式を，基準高の定義，地形・構造からの反射影響等を考慮すれば適用できることを確認した．