2013 年 69 巻 2 号 p. I_353-I_358
2011年東北地方太平洋沖地震津波により,矢の浦水管橋の3径間のうち2径間の上部工が流失した.重要なインフラである水管橋の被害を防ぐためには適切な補強が必要であり,矢の浦水管橋の詳細な被害分析を行うことは重要である.本研究では,残存した径間と流失した径間に作用する波力を数値解析により求め,それらの比較から水管橋被災への作用波力の影響を検討した.まず,鉛直二次元での解析を行い,比較を行った結果,作用波力により発生するトルクの差が現れ,これが水管橋の上部工の流失被害に影響していることが示唆された.次に鉛直二次元解析による評価の妥当性を確認するために三次元解析を行った.その結果,作用波力やトルクの大きさなどは異なるものの,鉛直二次元解析における作用波力の影響評価がおおむね妥当であることが分かった.