2013 年 69 巻 2 号 p. I_383-I_388
本研究では,津波による越流と浸透の同時連成作用を機能的に制御し高速度カメラによる高度な画像解析を装備した津波越流-浸透連成遠心実験システムを新たに開発し,防波堤マウンドの洗掘問題に適用した.その結果,マウンドの進行性すべり破壊を伴う洗掘フロントの発達機構を明らかにし,マウンド内の浸透と越流の連成作用がケーソン端部に向けた洗掘の発達を有意に助長することを初めて実証した.さらに,上述の越流と浸透の連成作用の帰結として,洗掘フロントがケーソン端部に達した際には,マウンド材の顕著な吸い出し(ボイリング)が発生し,ケーソン直下に空洞が発達しうることを明らかにした.これらの知見は,防波堤基礎の耐津波安定性の照査・向上を図る上で重要である.