抄録
蓮沼海浜公園ボート池における富栄養化の原因は底泥に蓄積した栄養塩によるものと考えられる.本研究では,貝殻を散布した底泥処理における底質環境への影響を解析することを目的とし,底泥の間隙水の栄養塩および硫化物を測定した.さらに各種底質改善材を供試した培養実験を行い,吸着等温式から各処理における各種栄養塩の吸着効果について比較検討した.間隙水の結果より,窒素濃度は貝殻を散布することにより低下した.リン濃度では未処理系よりも貝殻散布系において,未焼成系よりも焼成処理系において低濃度となった.吸着等温式より,窒素ではCaO散布系およびDAF(Dissolved AirFlotation;加圧浮上処理)+CaO散布系で負の吸着式となり,リンではCaO散布系で最も吸着効果が高かった.貝殻との比較では窒素は貝殻散布,リンはCaO散布において高い吸着効果が得られた.