2014 年 70 巻 2 号 p. I_396-I_401
陸上の構造物に作用する津波の持続波圧は,入射波のフルード数に依存して変化することが知られている.ところが,津波持続波力を抗力モデルを用いて評価する場合,抗力係数には形状により決定する一定値が用いられるのが一般的で,上述のフルード数の影響は考慮されない.本論文では,波圧分布と整合性のある波力の評価法を提示する.風工学の分野で用いられる圧力係数を基本として,これに,柱体前面での跳水によるエネルギー減衰,柱体背面での空洞化の影響を加味して水圧分布を求め,この積分値として波力を求めた.解析の結果,抗力係数がレイノルズ数とフルード数の関数となることを示し,円柱及び正四角形に対しては,抗力係数とフルード数との関係を導出し,実験結果と比較して良好な一致を得た.さらに,近似関数を提案し,必要となるパラメータを示した.