2015 年 71 巻 2 号 p. I_838-I_843
沿岸域の生態系サービスの中でも定量化が困難である文化的サービスについて,定量化評価手法を考案し,東京湾内の4つの干潟域に適用し,各干潟の特徴の抽出を試みた.評価手法は海洋健全度指数の手法を参考とし,現況の状態のみではなく,持続可能性についても評価できる構造とした.干潟域における文化的サービスとして5つのサービスを定義し,それぞれのサービスの状態を評価するための指標を設定した.その後,東京湾内の4つの干潟域で評価に必要なデータの収集やアンケート調査等を実施した.
評価の結果,成因や規模,構造,利用状況等の異なる干潟では提供される文化的サービスの種類や持続可能性の状態が異なっていることが明らかとなった.本手法により,これまで実態の把握が困難であった干潟域の文化的サービスの特徴を抽出できることが示された.