2015 年 71 巻 2 号 p. I_856-I_861
北海道北東部に位置するコムケ湖において,融雪期~夏期における干潟域での塩分や水位,干潟近辺の陸域地下水位のモニタリングと干潟域における浸透流の数値解析を行った. 現地観測の結果,陸域地下水位と干潟における水位は,融雪期において相対的に陸側の地下水位が高いことが明らかになった.さらに数値解析の結果から,陸域地下水位が高い場合では地下水位が低い場合と比べ,より広範囲にわたり塩分の上昇が妨げられていることが示された.また,地下水位が高い場合にはわずかに湧出が強く,干潟域で低塩分化していることが示された.春季において干潟域付近の塩分濃度が低く保たれることで低塩分帯に生息する水生生物が生息できる環境が生まれ,これらを餌とする多くの鳥類が春季にこの干潟域付近で観測される要因となっていることが示唆された.