2016 年 72 巻 2 号 p. I_982-I_987
本研究では,北海道コムケ湖の春季出水期における水質変動解析と大気-海水間CO2フラックスの推定を行った.はじめに,2013年春季のコムケ湖の現地観測データを用いて,塩分とDIC(溶存無機炭素濃度)の関係から生物過程(光合成,呼吸・分解等)による海水中CO2分圧への影響を検出し,その生物過程の有無や大小により,CO2分圧にどの程度影響を与えるかについて検討した.次に,3次元流動解析によりコムケ湖の再現計算を行い,湖内の流動および水質変動特性を把握した.最後に,生物過程を考慮した海水中CO2分圧と塩分の関係式から,海水中CO2分圧の湖内平面分布を求めるとともに,風速等の諸条件を与えたバルク法を用いて,コムケ湖全体の大気-海水間CO2フラックスの経時変化を推定した.