2017 年 73 巻 2 号 p. I_144-I_149
台風時高潮数値シミュレーションの外力として使用される風場は,よく経験的台風モデルあるいは局地気象モデルによって作成される.経験的台風モデルは,計算コストが低いが,地形の影響を考慮できず計算精度が低い.一方,局地気象モデルは地形の影響を考慮でき高精度な結果を得ることができるが,計算コストが高く,仮想的な台風の作成は難しい.そこで,経験的台風モデルによって求めた風場を局地気象モデルの結果と比較し補正することで,局地気象モデルより低コストで経験的台風モデルより高精度な風場を得るための補正法の構築を試みた.構築した補正法を台風モデルに適用した結果,地形の影響が反映された高精度な風場を得ることができた.さらに海洋流動モデルを用いた高潮推算を行い,構築した補正法により推算の精度が向上することを確認した.