2017 年 73 巻 2 号 p. I_42-I_47
腹付工に関する現在の設計法には,腹付耐力を過小評価する等の課題がある.本研究では既往の研究で得られた知見を活用し,腹付工に関する新たな設計法を構築した.主な特徴は,(1)腹付耐力の算定方法を変更,(2)堤体から作用する全荷重が基礎マウンドと腹付工で分担されることを考慮,(3)腹付工の最小規定を見直した点にある.この設計法で計算される腹付工は,現行の設計法より小さな腹付形状であるが,模型実験の結果と比較すると十分安全側のものであることを確認した.また,腹付工の断面形状に関する感度分析結果から,滑動破壊に対しては腹付工の高さを高くすること,支持力破壊に対しては腹付工の幅を拡げることが効果的であることがわかった.これらの特性を把握しながら本研究の設計法を用いることで,より合理的な腹付工の設計が可能となる.