抄録
北九州市沖海域では,洋上風力発電設備の合理的な計画・設計に資することを目的とした実証研究が進められている.同海域の洋上風況観測塔においては,風況,波浪,流況の連続観測が2012年より実施され,様々な海象条件でのデータが蓄積されてきた.対象海域周辺は小島や浅瀬が点在する複雑な地形条件にあり,高波浪時には強風による吹送流や波による海浜流,関門海峡へ出入りする強い潮流等が合成した複雑な流れが形成されている.本研究では,複数要因が混在した流れ場の全体像を把握するため,強風・高波浪時の流況の再現計算モデルを構築し,外力要因をそれぞれゼロとした場合の数値実験から,潮流・波浪流と吹送流成分の寄与について検討した.