2020 年 76 巻 2 号 p. I_983-I_988
2019年台風19号(Hagibis)によって駿河湾の清水港および焼津漁港に発生した高潮・高波被害に関する現地調査を実施した.高潮時に両港で観測された最高潮位はT.P. 1.7mであり,清水港における約1mの最大潮位偏差は吸い上げによる高潮の約2倍であった.最高潮位より高いふ頭においても浸水被害が発生しており,高潮だけでなく高潮と高波の重畳により被害が発生したことが判明した.清水港では,防波堤開口部からの直線的な入射ではないが,高潮上の波の作用によりふ頭上の建物の外壁がくの字状に屈曲する被害が発生した.焼津漁港でも高潮・高波による被害が発生した.物流に重要なふ頭などの台風災害への強靭化には,高潮・高波の重畳を検討することも重要である.