2016 年 72 巻 3 号 p. I_203-I_210
本研究では,アスファルト舗装の表面に生じる縦ひび割れに着目し,ホイールトラッキング試験を改良して,供試体表面に縦ひび割れを再現することで,そのメカニズムについて検討した.試験の結果,ある条件下で,タイヤ直下の表面にひび割れが生じることが分かった.この要因を明らかにするため,アスファルトコンクリートに圧縮作用と引張作用をそれぞれ繰り返して与え,応力の変化を評価した.試験の結果,弾性体に近いセメントコンクリートでは,圧縮作用時には圧縮応力,引張作用時には引張応力がそれぞれ生じるが,アスファルトコンクリートでは,応力緩和するため,作用方向に関わらず圧縮応力と引張応力が交互に生じる.このことから,アスファルトコンクリートでは,繰返し圧縮作用を受ける車両走行位置の舗装表面において,ひび割れが生じる可能性があることが明らかとなった.