2013年3月に気象庁は,「災害イメージの固定化」を助長してしまうことが危惧されていた従前までの津波情報(津波注意報・津波警報・大津波警報)の運用ルールを改め,定量的表現を排して3段階の定性的表現のみとするなど,総じて概略化の方向での改定を行った.本稿では,このような改定が一般住民にどのように受け止められる可能性があるのかについてアンケート調査に基づき検証を行った.その結果,改定後の運用ルール下においては「災害イメージの固定化」を払拭して迅速な避難行動を促進し,人的被害の軽減に貢献できる可能性がより高まったこと,しかしそれに対する住民評価は否定的なものが大半を占めていること,その背景には「曖昧さを嫌って物事を二律背反的に捉える心理傾向」が影響を及ぼしている可能性があること,などが把握された.