2009 年 65 巻 1 号 p. 468-477
我が国では,耐震基準が順次,改定されてきたが,これにより橋脚の保有する耐震性能がどの程度向上してきたのかは十分に定量化されていない.また,RC橋脚の構造性能や地震応答の評価には,降伏剛性や曲げ耐力等の基本的な特性が重要であるが,これらは鉄筋やコンクリートの材料特性のばらつきの影響を受ける.そこで,本研究では,1964年と現在の耐震基準に従って設計されたRC橋脚を対象として,材料特性のばらつきがRC橋脚の地震応答に及ぼす影響を明らかにするとともに,地盤種別とマグニチュード,震央距離で区分された地震動群が作用した場合の応答塑性率の超過確率を算定し,それに基づいてRC橋脚の耐震性の向上度を定量的に評価した.