2009 年 65 巻 1 号 p. 507-520
レベル2地震動に対する重力式コンクリートダムの耐震性能の照査において,堤体に生じた引張亀裂が上下流面に貫通した場合には,堤体の上部分断ブロックの安定性の詳細な検討·評価が必要とされている.そのため,コンクリートダムの亀裂分断後における堤体上部ブロックの地震時挙動を詳細に把握する必要がある.そこで本研究では,亀裂分断させたダム形状の模型試験体に対して,堤体模型上流側に貯水した状態で振動実験を実施した.上部ブロックの動的挙動を把握するとともに,上部ブロックに作用する動的荷重(慣性力,上流面に作用する動水圧,分断面に作用する揚圧力)について分析を行った.分断面に作用する揚圧力については,作用の有無の荷重条件での比較振動実験を実施し,上部ブロックの挙動に及ぼす揚圧力の影響を分析した.