2012 年 68 巻 1 号 p. 167-172
2011年東北地方太平洋沖地震(MW9.0)では,震源から420km離れた横浜市金沢区の柴町集合住宅において,地下ピット式駐車場の浮上がりなどの深刻な液状化被害が発生した.そこで本研究では,柴町集合住宅などでの常時微動計測結果および横浜市高密度強震計ネットワークによる観測記録などに基づいて,柴町集合住宅におけるサイト特性を評価した.そして,サイト特性置換手法を用いて柴町集合住宅(液状化範囲)の工学的基盤相当での地震動を推定した.その結果,柴町集合住宅地内における常時微動H/Vスペクトルの特性は,旧海岸部の地形との関係性が高いこと,柴町集合住宅に近い幸浦消防署や土木事務所における本震観測記録の転用は,柴町集合住宅地内(液状化範囲)での本震時の地震動を過小に評価している可能性が高いことなどを示した.