2012 年 68 巻 4 号 p. I_365-I_382
地震動加速度波形が与えられたとき,それに対する構造物の応答の大きさを知るのに便利なのが,1質点系動力学モデルにより計算される応答スペクトルである.地中構造物の耐震設計においても,周辺地盤の地震時変位を算定する際にそれが利用されているが,本来は連続体としての地盤の動力学モデルで計算すべきであろう.また,地中構造物で重要なのは,地盤に生じるせん断ひずみの大きさであり,これが応答スペクトルと同様な形で表わされれば便利である.本稿はこうした趣旨から,地震動加速度波形が基盤入力波として与えられたとき,それに対する表層地盤の動的応答の大きさを地盤の固有周期ごとに表示する「地盤応答スペクトル」の作成方法を提案するものである.また,いくつかの具体的な計算例を通して「地盤応答スペクトル」の特性を見る.