2012 年 68 巻 4 号 p. I_383-I_394
等価線形解析法は,地盤に生じる非線形性が拡大すると解析精度が低下する課題があり,適用範囲を考慮した上で使用する必要がある.そこで,同一地点を対象に異なるレベルの入力地震動を使用して地盤の等価線形解析を行い,最大せん断ひずみを指標として等価線形解析法の適用性について検討を行った.適用性の判定指標には,最大加速度,加速度時刻歴の包絡形,SI値を用い,非線形解析法による観測記録の再現度合を閾値と考え,良否を判定した.その結果,地盤に生じる最大せん断ひずみが1×10-3を超えると最大加速度の再現度合が低下する傾向がみられた.一方,土木構造物の被害に直結するとされる0.2~2.0Hzの周波数領域に限定すると,最大せん断ひずみが2×10-3まで拡大しても等価線形解析法が適用できると考えられた.