2014 年 70 巻 4 号 p. I_150-I_160
本論文は,断面が3段階に変化する補剛箱形鋼製橋脚の数値解析の結果より,変断面部で座屈が生じない条件式およびその条件式を用いた設計法の一提案に関してまとめたものである.3段階変断面鋼製橋脚においていずれの変断面部で座屈が生じると,橋脚基部で生じる場合に比べて耐震性能が低下する懸念がある.また,変断面モデルと等断面モデルで共に基部座屈が生じた場合,変断面モデルでは応力の分散により変形性能が等断面モデルに比べ若干有利になる場合がある.そこで本研究では,補剛箱形3段階変断面鋼製橋脚モデルに対して繰り返し弾塑性有限変位解析を行い,変断面部で座屈しないための条件式および条件式を用いた設計法を提案する.その結果,今回提案した設計法を用いることで補剛箱形変断面鋼製橋脚の座屈位置および耐震性能の低下の有無を知ることができ,補剛箱形等断面鋼製橋脚より優れた補剛箱形3段階変断面鋼製橋脚の変断面部の断面設計も可能となる.