2014 年 70 巻 4 号 p. I_199-I_209
地震被害想定の信頼性向上を目的として,地理情報データおよび地震応答解析手法を統合する統合地震シミュレータを開発してきた.本論文では,工学的基盤以浅を対象にしていた統合地震シミュレータを,断層から都市までを一貫して扱えるように拡張した.実際に仙台都市域22,800棟の構造物について解析を行い,シミュレータの適用性を確認した.また,地盤と構造物に関して,不確実性のあるパラメータに対して複数の想定を行い,パラメータの変動を反映した解析結果の検討が可能であることを確認した.本研究の方法を利用し,高性能計算機上でモンテカルロシミュレーションを行うことで,地震被害想定の確からしさに関する検討ができる可能性がある.