2014 年 70 巻 4 号 p. I_33-I_43
比較的小さな盆地構造を有する鬼首地域において,臨時地震観測を実施し,サイト増幅特性の算定を行い,一方で,常時微動観測(アレイ観測および単点H/V)を行い,地盤モデルの精度向上を図った.この地盤モデルに対する2次元地震応答解析により得られた伝達関数を,観測から得られたサイト増幅特性,一次元計算による伝達関数と比較した.
その結果,サイト増幅特性が伝達関数の平均~平均+標準偏差の間に対応していることがわかった.入射方向,詳細な地盤構造,表層地盤の影響により生じるバラツキを勘案すると,良い対応といえる.一方,小さい盆地構造を有する地盤のサイト増幅特性は,スペクトルインバージョンに用いる地震動の入射方向などに影響を受ける可能性があることがわかった.