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土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Vol. 70 (2014) No. 4 p. I_628-I_643

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http://doi.org/10.2208/jscejseee.70.I_628

地震工学論文集第33巻(論文)

 近年,地震による地盤の揺れを拡散波動場と仮定することにより,地震動H/Vスペクトルは水平と上下の一次元の波動伝達関数の比に基盤の速度比により定まる係数を乗じて求められるとする計算式が誘導された.この計算式を用いれば,地震動H/Vスペクトルの観測値を一次元の成層地盤の伝達関数で同定することにより,S波とP波の速度構造と減衰特性を同時に逆算することが可能である.ところが,地震動H/Vスペクトルの同定の試みは始まったばかりで事例が少なく,同定結果の妥当性の吟味など基礎的な検討も十分に行われているとは言えない状況である.そこで,著者らがその地盤構造を検証したことがある福井地域のKiK-netの観測地点を対象として地震動H/Vスペクトルの同定計算を行ってその方法の適用性について考察することとした.考察は,地中に対する地表のスペクトル比の計算値と観測値との比較,および地震基盤に対する地表面のスペクトル比の計算値とサイト増幅特性との照応等によりおこなった.その結果,地震動H/Vスペクトルのみの同定で概して妥当な地盤構造を逆算できることが確認された.一方,散乱減衰を感知できない場合もあったことから地中に対する地表のスペクトル比を参照することも必要であるとも言える.また,サイト増幅特性との照応は一次元伝達関数近似の妥当性の検討に有効であること,さらには地表面近くのP波構造を検証することの重要性などが確認された.

Copyright © 2014 公益社団法人 土木学会

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