2015 年 71 巻 1 号 p. 37-46
自然災害発生時のこども,高齢者など災害弱者の避難支援に関する対策マニュアルが多くの自治体で整備されてきている.しかし,実際に避難することができない人も増えてきており,ハザードマップを公開する等これまでの情報提供型防災の効果には限界があり,在宅している人を守る構造的な対策が必要である.本研究では,普段の生活の場である住宅における自然災害からの被害軽減策として,フェンス付きブロック塀を減災構造として適用できないか検討した.土石流や洪水を想定し,流入してくる土砂を受け止める(もしくは流向をそらす)ことにより家屋への被害を低減できる可能性があると考えた.フェンス付きブロック塀の水平載荷実験を行い,実験結果にもとづいて土石流に対する安全性を検討,減災構造として適用可能な条件を求めた.