2016 年 72 巻 4 号 p. I_44-I_54
筆者は既往研究において,震度情報を与件とする震度継続時間の条件付予測式を提示した.さらに,震度の距離減衰式と継続時間の条件付予測式を統合して,予測震度のばらつきを考慮した震度継続時間の期待値および標準偏差を確率論的に定式化したが,実地震への適用と精度検証を課題としていた.本研究は震度・継続時間の一貫した経験的予測スキームを2014年長野県神城断層地震に適用し,予測精度に関する検証を行ったものである.観測震度に基づく継続時間予測値は実測値と相関が高いことと,距離減衰式による予測震度に基づく継続時間予測値はばらつきが大きくなるが残差に偏りがないことを示した.また予測震度を介さない震度継続時間予測モデルを構築して予測結果を比較し,提案スキームの有効性を示した.