2017 年 73 巻 2 号 p. 330-343
レール締結装置の合理的な設計を行う上で,設計荷重下のレールの小返りを精度よく推定することが重要となる.従来,小返りの推定は,所定の理論に基づく実用解により行われている.しかしながら,近年,実用解が試験軌道の載荷試験で得られた小返り角と十分に一致しない事例が報告されている.
本研究では,実用的かつ精度の高い小返り推定法の確立を目的とし,FEMを用いた小返り解析モデルを提案し,その妥当性を検証した.提案した解析モデルは,試験軌道の載荷試験結果を高い精度で再現し,レールや締結装置の応答を推定する上で妥当なものであることを確認した.また,本解析モデルを用いて,締結装置1組で性能評価試験をする場合の荷重条件の算定法を示し,本方法を用いることで,従来と比較してより適切な評価が可能になることを示した.