2017 年 73 巻 4 号 p. I_511-I_521
浜岡原子力発電所では,東北地方太平洋沖地震の津波被災を受け,津波防護施設「防波壁」を設置した.防波壁のような壁状構造物の設計で地震時動水圧を考慮する場合,一般的にはWestergaard式が用いられる.しかし,Westergaard式が剛体を仮定しているのに対し,防波壁の地震時挙動は弾性振動であり,壁前面の砂丘堤防により水深が一定ではないことから,その適用性ついて確認が必要である.そこで,防波壁と前面地形をモデル化した模型振動実験およびその再現解析により検証した.その結果,弾性振動をする壁状構造物に作用する動水圧は揺れの増幅が大きい壁上部で剛体との乖離が大きいこと,再現解析ではWestergaard式に基づく付加質量モデルおよび液体要素モデルの何れでも評価できるが,液体要素モデルの方が合理的に評価できることが分かった.