2017 年 73 巻 4 号 p. I_634-I_641
津波堆積物の層厚や粒径分布などの情報は,土砂を押し流す津波の水理量との相関が高いと考えられ,津波堆積物に関する詳細な調査結果からその堆積物を形成した津波外力を推定することが期待される.そのためには,津波堆積物の形成メカニズムの理解および津波移動床モデルによる再現性の向上が必要となる.本研究では,津波により陸上斜面上に形成される堆積砂分布について,砂の粒径,遡上域の勾配,外力を変化させて津波移動床の水理実験を実施した.その結果,遡上距離と堆積物形成距離との関係,入射波と堆積物の分布の関係,砂の粒径の相違による堆積物の分布の相違,単一砂と混合砂による堆積物の分布の相違について検討を行った.