2021 年 77 巻 1 号 p. 180-198
本研究では飛来海塩環境におけるAl-5Mg合金溶射と重防食塗装の取合部の耐食・防食特性を明らかにするために,帯状の鋼素地露出部を導入した溶射皮膜と塗膜の皮膜重ね部,および溶射皮膜と塗膜の突合せ部を有する鋼板試験体の大気暴露試験を行った.また,大気暴露した試験体の溶射皮膜の膨れ性状や交流インピーダンスの測定,SEM-EDXやEPMAなどによる元素分析を実施した.これらの結果から,Al-5Mg溶射皮膜と塗膜の重ね部における鋼素地露出部からの溶射皮膜は,腐食環境によらず溶射皮膜のみの場合に比べて早期に劣化し,防食性能が低下すること,また,この傾向は付着海塩の雨洗作用がある環境に比して,雨洗作用が無い環境が強いことなどを明らかにした.