2021 年 77 巻 4 号 p. I_309-I_320
港湾の鋼管杭式桟橋の設計条件は,載荷重や地震力の増大等の影響で厳しくなる傾向にあり,降伏応力450MPaの高強度鋼管杭を用いても設計が容易に成立しないことがある.そこで,さらに降伏応力が高い鋼管杭(降伏応力500MPa,700MPa)を,港湾構造物へ適用するための検討を行い,以下の結論を得た.1)鋼管杭の正負交番載荷実験を行い,想定通りの耐力と変形性能を保有していることを確認した.2)設計用の曲げモーメント-曲率関係と限界曲率は,降伏応力450MPa以下で設定された式を700MPaまで拡張できることをFEM解析で明らかにした.