2021 年 77 巻 4 号 p. I_61-I_70
免震支承の経年劣化や地震による損傷は橋梁全体系の耐震性能の低下につながる恐れもあり,大規模地震後の免震橋梁の残存耐震性能評価はその後の運用方針を決めるうえで重要な判断材料となる.本研究では,地震応答観測に基づくモデル更新によって免震橋梁の残存耐震性能評価を行うために,近似ベイズ計算による近似尤度関数を設定し,BUSと適応型クリギングモデルを組み合わせた効率的なベイズ推定手法を構築した.そのうえで,免震支承の経年劣化を考慮した免震橋梁の解析モデルを対象に,提案手法によって免震支承の2次剛性を含めた構造パラメータについて,経年劣化による変化を適切にとらえた妥当な事後分布を推定できることを明らかにした.さらに,モデル更新結果に基づく漸増動的解析を行い残存耐震性能評価の一例を示した.