2022 年 78 巻 1 号 p. 108-120
高力ボルト接合のボルト軸力は供用中に様々な影響で低下する場合があり,接合の現有性能把握の上で,ボルト軸力を評価することは重要である.これまで,既設ボルトの軸力計測手法は複数提案されているが,評価精度や適用性の面で改善の余地がある.本研究では超音波計測による方法に着目し,まず得られた波形にランダムフォレストを用いた機械学習を適用することで,超音波計測波形の初期時間帯にボルト軸力と関連する情報が含まれる可能性を確認した.さらに評価精度向上のため,ボルト軸力と関連する区間を選定し,選定区間に寄生的離散ウェーブレット変換(P-DWT)の信号処理を加え,線形回帰による機械学習を適用することで,ボルト軸力の定量的評価を試みた.その結果,ボルト長さの影響を受けずにボルト軸力を高精度に評価できる可能性が示された.