2022 年 78 巻 4 号 p. I_138-I_151
構造物の耐震性能照査を材料非線形解析により行う場合の照査基準値(部材厚増分・圧縮縁変位差・偏差ひずみ第二不変量)に対して,地中RC構造物の耐震性能照査手法の高度化を目的として実施した実大規模の試験体を用いた載荷実験結果と照らし合わせて,損傷指標としての適用性を検討した.試験体は1辺1.1mの正方形断面RC柱である.試験ケースは,N-1:基本ケース,P-1:あと施工型せん断補強鉄筋あり,N-2-1:斜め載荷,N-2-2:プレクラックありの4ケースで,P-1以外はせん断破壊先行型の配筋仕様である.検討の結果,それぞれの実験条件下における各照査基準値の推移と試験体の損傷状況との関連が明らかになるとともに,既往のマニュアル等で規定されている限界値が,想定されている損傷範囲に概ね適合し,かつ安全側であることが確認された.