2011 年 67 巻 1 号 p. 14-26
複数の異種構造物により構成される線状施設を対象に,リスクファイナンスのための地震リスク評価手法を提示する.事業者は保有するリスクをリスクファイナンスにより第三者へ移転する際に,互いの情報の非対称性を解消するためリスクを定量化することが必要となる.リスクの定量化は合理的で説明性のある手法により算定され,リスクカーブや各リスク指標にて示すことが一般的となっている.
本手法は,線状施設を離散的に取扱い,既往の分析技術を活用し,各種構造物の脆弱性と構成から集約地震ロス関数を設定し分析するものである.集約地震ロス関数の設定は,構造物の脆弱性に関する既往研究を統一の損傷レベルへの分類,地震動強度指標へ変換し実施する.また試算として首都圏を放射線に延びる直線20kmの鉄道路線を想定し,分析を行う.