抄録
平成23年台風12号による豪雨で,死者27名,行方不明1名の被害を出した和歌山県那智勝浦町を対象として,土砂災害における避難行動と伝達された情報に関するアンケート調査を行った.アンケート調査では,避難率が低かったことが大きな被害につながったとも考えられるため,今後,犠牲者を出さないために避難率が低かった理由を明らかにする必要がある.具体的には,避難情報に接した際の反応,避難行動の有無に対する意思決定条件,避難行動を促進あるいは抑制した情報伝達手法・周辺環境などを調査し,明らかになった結果をもとに,早期避難を促すために必要な情報,手段ならびに排除すべき阻害要因を示し,住民の安全を確保する対策の提案を行う.