2016 年 72 巻 2 号 p. I_171-I_176
大規模な地震等に見舞われた港湾において速やかに施設の状態を把握することは,迅速な緊急物資輸送及び港湾機能の回復を図るうえで重要である.本研究では,桟橋上部工コンクリートに着目し,従来より行われてきた下面から船舶または潜水士等による直接目視に代替する手法として,電磁波レーダを用いた調査・解析による手法の適用可能性について検討を行った.
3D電磁波レーダを用いて既存の桟橋上部工の試験調査を行い,レーダデータの反応と実際の構造物の状態を比較した.試験調査及び解析の結果,床版(スラブ)の下部鉄筋付近の状態についてもおおよその状態を推定することが可能であると考えられる結果が得られた.また,本手法を施設管理の現場において活用することの利点を考察した.