土木学会論文集F6(安全問題)
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特集号(和文論文)
津波リスクの見直しを受けた居住誘導の課題―高知市を対象としたケーススタディ―
坂本 淳
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2019 年 75 巻 2 号 p. I_119-I_125

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抄録

 2012年施行の津波防災地域づくり法を受けて太平洋沿岸地域の津波浸水想定は大きく見直され,これまで浸水しないと想定されていた地域で新たな津波防災対策が必要なことが認識された.一方,地方では本格的な高齢化・人口減少問題が深刻化しており,コンパクトかつ利便性の高い都市形成が急務とされている.

 本研究では,津波リスクの見直しにより中心市街地の広範囲の浸水が想定される高知市を対象とし,住民意識調査に基づき居住誘導に向けた課題を考察する.まず,見直しに対する意識について,災害リスク,まちづくりの観点から把握する.次に,住民が防災面で安心と考える要因について,場所や建築条件から解明する.さらに今後の居住選択で重要視する点と防災対策事業の認知状況を明らかにする.その結果,高知市の方針である将来のまちなか居住を促進させていくためには,浸水想定区域内の防災対策を早期に行う必要があることがわかった.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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