2016 年 72 巻 3 号 p. I_150-I_158
地下鉄の異高型複断面区間の耐震性については,横断方向の耐震性の検討方法が示されていないことから,模型実験により地震時の地盤変位に伴う挙動について検討した.まず,単線断面と異高型複断面の模型トンネルをせん断土槽に設置し,所定の位置まで模型地盤を作製した.ここで初期状態の断面力を把握し,一般的な開削トンネルの設計で得られる断面力分布の傾向と概ね一致していることを把握した.つぎに,せん断土槽を変形させることにより,模型を含む地盤に強制変位を作用させた.その結果,異高型複断面では中壁に大きな曲げモーメントとせん断力が発生するとともに,載荷方向によって変形モードが異なることを,ひずみ分布とも参照の上で把握した.