2020 年 76 巻 1 号 p. 34-48
山岳トンネルにおいて,トンネル完成後に盤ぶくれが発生し対策が必要となることがある.このような盤ぶくれのメカニズムを解明することを目的に事例分析,文献調査を実施した.これらより,建設時の情報から完成後の盤ぶくれを予見するのは難しいものの,盤ぶくれと水の関係は密接であることがわかった.さらに,岩石試験,模型実験を実施し,建設時に湧水が少なくても,完成後には何らかの形で水が供給された場合,地山劣化する可能性があること,含水比変化が急激であれば急激な盤ぶくれも起こりうること等を示した.これらの結果を元に,山岳トンネルの盤ぶくれメカニズムとして,建設時の湧水の多寡,完成後の水の供給に着目して,いくつかの盤ぶくれのシナリオを示した.