日本小児看護学会誌
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研究
幼児期に先天性心疾患手術を受ける患児の情動反応と体験
中水流 彩中村 伸枝佐藤 奈保
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2022 年 31 巻 p. 186-193

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抄録

 本研究の目的は、幼児期に先天性心疾患手術を受ける患児の思いと反応について明らかにし、患児の情動反応について記述すること、さらには看護援助の示唆を得ることである。先天性心疾患手術を受ける幼児4名を対象に質的縦断調査を実施し、入院中の患児が情動反応を示した85場面に対する参加観察を行った。参加観察において記述したフィールドノートを質的に分析した結果、幼児期に先天性心疾患手術を受ける患児の情動反応は、6つの体験に分類された。6体験の中で、[新たな環境への接触]、[入院中に生じた制限]、[苦痛を伴う処置]では、周術期に特有の体験であるにもかかわらず、患児の主体的反応がみられ自己防衛は軽微に止まった。一方、患児の自己防衛が強かったものは、療養生活の中で体験することの多い[服薬]、[苦痛を伴う検査]、[身体侵襲を伴う処置]であった。これらの体験に焦点を当てた教育的介入と患児の対処を高める支援の必要性が示された。

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© 2022 一般社団法人 日本小児看護学会
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