2022 年 31 巻 p. 226-233
本研究の目的は、入院している子どもをもつ親との相互作用に着目して小児病棟に勤務する看護師の体験を明らかにすることである。小児病棟の看護師6名に対して、半構造化面接を実施し、質的帰納的分析を行った。その結果、【日々の様子から親の印象を感じ取る】、【話し方やアイコンタクトから親との心理的距離を感じ取る】、【親のことを思ってどうするか考える】、【看護師としての役割と自分の気持ちの間で揺れる】、【自分の特性を認識する】、【親子を支えるために行動する】、【親への心理的距離に応じて関わり方が変わる】、【親と思いを共有する】を含む16カテゴリーが抽出された。看護師は、親との相互作用を繰り返す中で、自分の中で揺れ動く気持ちを感じ、自分の特性を認識する体験をしていた。加えて、看護師には、親のことを思う確かな主観が存在し、その看護師の主観的体験が小児病棟における看護実践に関わっていることが示唆された。