日本臨床免疫学会会誌
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総説
Quorum sensing : 細菌感染症の新しい抗菌ターゲットの可能性
朝野 和典
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2004 年 27 巻 5 号 p. 297-301

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抄録

緑膿菌は細菌密度を感知するquorum sensingという機構で, 病原性因子の産生を制御している. すなわち, quorum sensing機構で, 周囲の細菌の密度を感知し, 多くの病原因子の産生誘導を行なう. 緑膿菌は, 慢性感染症を起こし, 特にびまん性汎細気管支炎 (DPB) などの慢性気道感染症の代表的な持続感染菌である. このような細菌に対しては, 最小発育阻止濃度 (MIC) など薬剤感受性検査の成績は臨床効果とは相関しない. 1980年代に, エリスロマイシンをはじめとするマクロライドの少量長期投与がDPBに対して有効であることが判明した. このマクロライドは緑膿菌のquorum sensingを強く抑制することが最近報告されており, 新しい抗菌ターゲットとして注目されている.

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© 2004 日本臨床免疫学会
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