日本臨床免疫学会会誌
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総説 特集:Autoinflammatory syndromeの新たなる展開と治療法の確立
PFAPAの診断と治療
村田 卓士岡本 奈美清水 俊男玉井 浩
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2007 年 30 巻 2 号 p. 101-107

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抄録

  PFAPA症候群とは,周期性発熱,アフタ性口内炎,頸部リンパ節炎,咽頭炎を主症状とし5歳以下の乳幼児期に発症する非遺伝性自己炎症性疾患である.病因,病態は現在不明であるが,サイトカイン調節機能異常は重要な病態の一つと考えられる.発熱発作の周期は規則的で通常3~6日間続くが,間歇期は全く症状を欠き活動性も正常である.その他,扁桃炎,倦怠感,頭痛,関節痛,腹痛,嘔吐,下痢,咳,血尿,発疹など多彩な症状を呈するが,いずれも後遺症は残さない.発熱時の非特異的炎症反応の他は特異的な検査所見はなく,診断にあたっては他の発熱性疾患の鑑別を含めた臨床診断が重要である.特異的な治療法はなく,有熱期間の短縮効果としてステロイド薬,寛解導入が期待できるものとしてシメチジンや扁桃摘出術などが考慮されることもあるが,症例の集積および検討を要する.他のautoinflammatory syndromeに比して予後は良好で,多くの症例では発症後経時的に発作間隔は広がり4~8年程度で治癒,成長および精神運動発達も正常である.口腔内病変をともなう小児期の反復性不明熱においては,本症を常に考慮する必要がある.

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© 2007 日本臨床免疫学会
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