日本臨床免疫学会会誌
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総説
分類不能型免疫不全症
高橋 尚美森尾 友宏
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2008 年 31 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

  分類不能型免疫不全症は血清イムノグロブリンの低下と感染に対する感受性の増加を特徴とする原発性免疫不全症である.患者は様々な臨床症状を呈し,細胞レベルおよび免疫学的においても多様な欠損があり,自己免疫疾患を合併しやすく悪性腫瘍への感受性も高い.最近CVIDの原因となる4つの遺伝子の欠損(ICOS, TACI, BAFF-R, CD19)が同定され,CVIDにおける遺伝的基盤の多様性を実証している.これら遺伝子の異常はそれぞれ異なる段階でB細胞の成熟,機能および分化を障害する.原因遺伝子の解明にも関わらず,それが免疫不全に結びつく分子メカニズムは未だによく理解されていない.本稿では,CVIDの分子基盤について概説し,分子の欠損が自己免疫にどのように結びつくかについての知見を紹介する.

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© 2008 日本臨床免疫学会
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