日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
Rituximabが奏効した難治性結節性多発動脈炎の一例
園本 格士朗宮村 知也渡邉 秀之高濱 宗一郎中村 真隆安藤 仁南 留美山本 政弘齊藤 知子今山 修平細川 知聡末松 栄一
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2008 年 31 巻 2 号 p. 119-123

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抄録

  症例は47歳男性.平成17年1月,左下腿痛ならびに潰瘍を伴う皮疹が出現し,近医受診.皮膚結節性多発動脈炎と診断された.ステロイド治療を受け,改善を認めた.平成18年1月,下腿潰瘍が急速に増大し,当院皮膚科入院.1月19日当科初診.多発単神経炎,下腿潰瘍,筋肉痛,CRP 4.21 mg/dlおよび病理組織所見より結節性多発動脈炎と診断.ステロイド大量療法,シクロフォスファミドパルス療法,γグロブリン大量療法,さらに白血球除去療法を施行したが,下腿潰瘍,炎症所見は増悪,寛解を繰り返した.平成19年2月,rituximab療法(375 mg/m2/週×3回)を施行したところ,下腿潰瘍,炎症所見の改善を認め,プレドニゾロン(PSL)の減量が可能となった.近年,関節リウマチ,全身性エリテマトーデス,皮膚筋炎/多発筋炎,ANCA関連血管炎などの難治性自己免疫疾患に対するrituximabの有用性が注目されている.結節性多発動脈炎に対するrituximabの効果は確立されていないが,本症例において下腿潰瘍,炎症所見の改善を認め,有用性が示唆された.

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© 2008 日本臨床免疫学会
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