日本臨床免疫学会会誌
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総説
T細胞性白血病転座関連遺伝子(TCTA)蛋白のヒト破骨細胞分化における役割
小竹 茂八子 徹川本 学南家 由紀
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2009 年 32 巻 6 号 p. 466-471

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抄録

  関節リウマチ(rheumatoid arthritis, RA)患者滑膜組織はRANKL, TNF-α, IL-6, IL-17,そしてIFN-γのような骨吸収を制御しているサイトカインが認められる.これらのサイトカインの他に,滑膜組織に発現している新規分子が骨吸収において重要な役割を果たしているかもしれない.1996年から私たちは,ヒト破骨細胞分化を制御している新規タンパクを同定することを目的に,RA患者滑膜から,ゲル濾過クロマトグラフィー,逆相HPLCそして質量分析をもちいタンパクを精製,同定した.最終的に私たちはT-cell leukemia-translocation associated gene (TCTA, T細胞性白血病転座関連遺伝子)タンパク由来のペプチドがRANKLによるヒトの単球からの破骨細胞形成を抑制すること,およびヒト成熟破骨細胞の大型化と骨吸収活性を抑制すること,を見いだした.本稿では,TCTAタンパクに関するこれまでの報告を概説したのち,私たちのTCTAタンパク由来ペプチドに関するヒトおよびサルの破骨細胞分化およびヒト癌細胞への効果を解説する.

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© 2009 日本臨床免疫学会
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